オカリナの話になるとよく尋ねられるのが、「どこの国の楽器か」ということ。これまで、「イタリアの伝統楽器です」とだけ答えてきたが、先日すこしその歴史について調べてみた。
オカリナは、マヤ文明までさかのぼれるらしく、アンデスから持ち帰ったあるイタリア人がイタリアで普及させたという。「オカリナ」は、「小さなガチョウ」という意味だそうだ。土を焼いて作られる土笛であるが、分類上は「木管楽器」になるという。
日本では、いつ頃だったか、ひと昔前にブームがあった。私がオカリナを手にしたのは、そのブームが去ろうとしている1972年か73年頃で、どういういきさつで買ったのかはっきりと覚えていないし、ブームがあったということさえも記憶にない。
ただ、確か福岡の天神にある岩田屋(だったと思う)の中の楽器屋に飾ってあるものに惹かれて、買ったことをかすかに覚えているだけある。当時、かなり高価なものだったので、せがんで買ってもらったのかもしれないが、残念ながらその記憶さえもない。
そのオカリナ、故郷を離れて、東京、名古屋、ソウル、アメリカと引っ越すたびごとに荷物の片隅にあって、約40年間お守りのように一緒に旅している。一度だけ、まだ小さかった子供に持たせたとき、壊れてしまった。壊れたのは一部分だったので瞬間接着剤でくっつけて今も健在である。
時々、思い出したように吹いてきたが、写真を撮るようになってからはいつもカメラバッグの中に忍ばせている。ここ3年ほど、毎年夏のファミリーキャンプに写真ボランティアで参加しているが、そのエンターテイメントのつなぎの時間に簡単な曲を披露するようになった。アメリカにはないこの楽器は、非常に不思議なものに見えるらしく、じっと見入って、聞き入る子供たちや親たちの顔が頭に焼き付いている。
アメリカではじめて人前で吹いたのは、数年前のマウント・シャスタでのこと。自然の中で演奏するのはとても気持ちがいい。かねてより、風を写真に撮りたいと思っているが、この楽器は、その風を、そして飛ぶ鳥を、さらには太古からのスピリットを表現してくれるのだと思う。
「下手の横好き」の域をでないが、これからも大切にしたいものの一つである。