世界遺産が人気を得ているようであるが、人気が出すぎて観光地化してしまった遺産についてどこかで聞いたことがある。そういう世界遺産は、もう昔がたりをやめるのかもしれない。
カリフォルニア州、ニックネームは「ゴールデンステイト」(黄金の州)である。むかし、メキシコからある探検家がカリフォルニア南部に来たとき、咲いているカリフォルニア・ポピー(ハナビシソウ)をみて、まるで「黄金」のようであるといったそうである。自分自身も数年前に初めて、一面に咲くこの花を見て、そんな感覚にひたったことがあった。カリフォルニアの青空のもと、一面に咲き陽にゆれる鮮やかな原色のオレンジは、強烈な印象で脳裏に焼きつくほどである。
この花の原生するのは、西海岸、とくにカリフォルニア州に限られる。今でこそ、種で売られて、全米の花壇で見られるのかもしれないが、この州では、ほぼ一年を通じてどこかで咲いているといわれている。
今年は、赤やピンクの花まで見つけてしまったが、基本的には、オレンジ、黄色、そしてまれに白。個人的にはオレンジと黄色のグラデーションがあるものが好きである。一般に、内陸ではオレンジ、海岸では黄色が主流で、一見して別の花のようにも見えるがまったく同じ種である。
カリフォルニアの州立公園や非営利団体が維持・管理している公園には、昔の面影を残したところが何か所かある。変わり行く景色の中で、そこだけを昔のままにとどめることは至難の業であると思うが、個人主義の国ともいわれるアメリカには、こうした自然保護や、復古に関心を持ち、資金や時間を提供する意識の高い人が多いのも事実である。
いつまで遡ればいいのか、その点、アメリカの場合はわかりやすいのかもしれない。白人が来る前か、定住しはじめたころの風景、ネイティブ・アメリカンがみていた風景が、それにあたるのだろう。生活の便利さからいえば、今とは比較にもならないくらい不便なのかも知れない。
でも、そこに自然と共存していた、自然によって生かされていた祖先の姿がある。その自然を「征服」・「開発」(破壊)せずに、共存しつつ、発展してくる道もあったとも思うが。